「ゆとり教育」の効果

校内暴力・家庭内暴力・いじめ・自殺・不登校・引きこもり・切れる少年たち・援助交際・学級崩壊・精神性疾患……

 

教育現場では次から次へと問題が起こります。原因の根本は「知育偏重」と「学歴社会」にあると考え、それを解決すべく「ゆとりの教育」が推進されてきたことはすでに述べました。その効果はどうだったのでしょう。

 

まあ、30年に渡ってゆとりの教育を推進しながらも、これだけの問題が起こっているのですから結論は出ているようなものですが、文部科学省が発表している「不登校生徒数」の推移を見てください。

 

年間30日以上欠席した不登校生徒数(中学生)

         1982年      約2万人

         1999年    約10万人

                       正確に言いましょう。102,527人です。(文部科学省発表)

約5倍に増えています。少子化で中学生の総数が3分の2近くに減少している中での5倍です。この数字を見ていると、「ゆとりの教育」は効果がないばかりか原因にすらなっているのではないかという疑いを持ってしまいます。

 

ついでに文部科学省の発表しているデータを紹介すると、不登校児童生徒が在籍している学校は、小学校で10618校、中学校では8887校であり、公立学校総数34417校のうち、小学校は約44%、中学校で約85%の学校に不登校児童生徒が1名以上在籍しているそうです。もう不登校は、どこの学校でも特別なことではなくなってしまったようです。

 

こうして検証してくると、あらためて「ゆとりの教育」とは何だろうと考えてしまいます。様々な問題に何の効果もなかったばかりか、知的後退という日本の将来を危うくさせる結果を招いている「ゆとり」。また、この学習内容の削減に次ぐ削減が子供の学習意欲を奪っていることを指摘しておかなければなりません。高度な学習内容を切り捨ててしまっては、子供の知的好奇心を育てることはできないのです。

 

最初にお話したことを思い出してください。

 

自己責任型社会では価値観の構築が大切だ

 

お父さん、お母さん、子供の教育に関する価値観をお役人に委ねるのはやめましょう。自らの信じる価値観に従って子供の教育を考えてください。日本の危機は、すぐそこまで忍び寄っています。

 

冒頭で「今の子供は忙しすぎる」という指摘に反論があると言いましたが、子供が忙しいのは本当にいけないことかという疑問があるのです。

 

かつて、唐突に月に一度の土曜休みが学校に導入されたとき、その休日の過ごし方を尋ねたアンケート調査の回答で最も多かったのは「寝ている」でした。その結果を伝える新聞記事には、「このように、今の中学生は過度の塾通いと部活で疲れている」というお決まりのコメントが載っていましたが、そうでしょうか。学生時代とは「やりたいことがいっぱいで寝る時間も惜しい」というくらいエネルギッシュな時代のはずです。今の子供たちがそうではないとすれば、文部科学省が金科玉条のように唱えている「生きる力」そのものが衰退している証拠ではと思えてならないのです。

 

この、子供たちの「生きる力」と「学習意欲」の衰退と密接に関係があると思われる風潮が、学校現場に蔓延しています。

 

それは、「競い合いの否定」です。次の章ではこれをテーマにお話します。