これからの子供たちに必要なもの

 

では、これからの子供たちに必要な能力とは何でしょう。

 

総中流社会では、たいした努力をしなくても「真ん中の地位」を確保することは難しくありませんでした。なにしろ国民の9割が中流なのですから。ところが、上位2割に入るためには「たいした努力」をしなくてはなりません。

 

2対8の法則は特定の世界のことだけではありません。画家も歌手も喫茶店もガソリンスタンドも…全ての分野にあてはまる法則です。これから子供たちがどの道に進むにしても、生まれつきの才能や運だけで上位2割に入れるわけがありません。どの分野においても、そうとうの努力が必要になってきます。

 

  つまり、今の子供たちが真っ先に身に付けなければならない能力とは「努力」なのです。努力とは誰でもできると思っている人がいますが、努力とは「努める力」のことであり、能力のひとつです。だから、走力や腕力と同じく人によって差があり、訓練によって伸ばすことのできるものなのです。そして、今の子供たちが「努力」を伸ばす方法は2つしかありません。勉強とスポーツです。

 

  ところが、勉強(教育)にも自己責任の波が押し寄せています。

 

  これまでもお話してきたように、2002年度からの教育改革によって指導要綱が大幅に変更されました。その柱は次の3つです。

 

         週完全5日制

         学習内容の3割削減

         中学校の絶対評価の導入

 

  この改革によって、子供たちは親の世代が学んだ量の半分しか学校では学ばなくなりました。しかも、これまでは教科書内容が学ぶべき最高基準だったのが、これからは最低基準とされています。つまり、残りの半分が「自己責任」に委ねられることになったのです。

 

  休みが増える。学習内容が簡単になる。と、喜んでいてはいけません。確かに「ゆとりの教育」によって子供たちの自由時間は増えました。しかし、その時間をどう使うかは自己責任なのです。自己責任社会は厳しいと覚悟しなければなりません。なぜなら、自己責任とは結果責任を負うことに他ならないからです。これからの日本は国や社会に頼ることは許されなくなります。すべては自分の力で切り開いていかなくてはならないのです。

 

  反面、ある意味では「やりがい」のある社会とも言えます。自分に投資した時間や労力が、はっきりと結果に現れるのですから。また、全ての人が同じ分野で上位2割に入ることは不可能です。これまでのような画一的な価値観は通用しません。そう気づいた瞬間、子供たちの目前に多様な価値観、多様な世界観が開けてきます。子供たちは初めて無限の選択肢に気づくことでしょう。当然、子供たちの前には様々な選択肢が用意されなければなりません。それは、我々大人世代の責任です。

 

  問題は学校教育から削られた半分を何で埋めるかです。考えてみれば、自分にとって必要なこと、本当にしたいことをする時間を与えられたのですから、歌手を目指す子はダンスやボイストレーニングに、野球選手を目指す子はバッティングセンターに通っても良いのです。(イチロー選手のように)  デザイナーを目指す子は絵画教室に通う時間も生まれるでしょう。そして、もっと学問を究めたいと思う子は勉強に当てるのも自由になりました。

 

  かつて土曜日休みが導入されたとき、社会がその受け皿を用意すべきだと盛んに言われました。しかし、完全週休2日の導入後の今も実現には至っていません。

 

  私たちは塾人です。受け皿作りと言われてもダンスや野球を指導することには無理があります。やはり、学問をもっと追求したい、勉強で「努力」を伸ばしたいという子供たちの受け皿を作ることが本筋です。

 

努力する人になりましょう。どの道を歩むにしても必要な「努力」。それを伸ばすことを考えましょう。

 

  私たち塾人も努力します。塾生たちの「努力」を伸ばすために。

 

  保護者の皆さんも努力して下さい。古い価値観を捨て去り、子供たちの未来を拓くために。