子供たちの心を守るために
今、子供たちの心が病んでいると言われます。学校では計算の仕方や漢字の書き方は教えてくれますが、悲しみから立ち上がる方法や不安を安心に変える方法、友達を作る方法は誰も教えてくれません。子供たちにとって頭の勉強と同じくらい、いえ、それ以上に心(感情)の勉強は大切なことです。
① 心が勉強に及ぼす影響
あこがれ続けていた先輩から携帯の番号を教えてもらったとします。090-****。メモが
なくても頭の中で絶対に覚えようとしますよね。人によって覚え方は様々でも、ほとんどの人が瞬時に覚えてしまいます。一方、どうでもいい人?から教えられた電話番号は、さっぱり覚えられません。
また、嫌いな先生に出会ってしまうと、教科には何の罪もないのに、その先生が教えてくれる教科まで嫌いになってしまったという経験がありませんか?中には、中学1年生のときの英語の先生に一生懸命練習した発音を笑われて以来十年、一度も英語の勉強をしなかった人もいます。
今まで成績が良かった子が急に悪くなるのは、友人関係のトラブルや恋愛問題の悩み、あるいは家庭内での両親の不仲など、心理的な原因がほとんどです。
このように、心が体や勉強に及ぼす影響は大きなものがあり、人間である以上、心の問題を抜きに勉強だけ指導していればよいというわけにはいかないのです。しかし裏を返せば、心を自分で上手にコントロールすることによって学習効果も上がり、充実した生活が送れるようにもなります。
② 思春期症候群、受験神経症
小学校高学年から高校生までの時期に、心と体のバランスが崩れ精神的に不安定になることが
あります。こうした自律神経失調的な心の状態になることを思春期症候群と呼びます。その症状が高じると、過食症、拒食症、家庭内暴力、不登校などを引き起こす原因にもなります。そして、この症状は子供であれば誰でも起こり得るものなのです。
この年代は自律神経支配からホルモン支配へと移行する時期であり、自分の意思にホルモンが
影響し、自分でも感情がコントロールできなくなります。訳もなく腹が立ったり、親に口答え
をしたりと反抗的になります。そして、批判を許さない親を持つ子供は、内へ内へとこもって一切口をきかなくなったりもします。
受験神経症も、この症候群の一つで、受験が原因で不眠症になったり、集中力が低下し、テストになると腹痛に襲われトイレに行きたくなったりします。また、周りから見るとサボって遊んでいるように見える行為も、本人はそのことに悩み、苦しんでいる場合もあるのです。
③ 家族や親にできること
先ほども述べたように、自律神経支配からホルモン支配へと変化していくのは自然なことであ
り、「こうしたことは思春期の子供には多かれ少なかれ起こるものである」ということを家族が知っておく必要があります。そして、その時期に入ったら家族で話し合い、「うちの子も大人になろうとしている。」「ここまで成長してくれて嬉しい。」と考えることです。周りの大人がゆったりと構えて、この時期の子供の感情の揺れに踊らされない、あたふたしないことが必要です。
また、細かいことを言ったり「何々しなさい」と命令調になるのも避けたいものです。最もよくないのは、今まで通りにさせようとして言葉や態度で押さえつけてしまうことです。子供にとって唯一感情を吐き出せるのが家族です。家族にもぶつけられない怒りやストレスは自分自身を傷つける刃となり、心や体の病気を誘発してしまいます。
親も人間です。あまりに子供から批判され、否定されると腹も立ちます。しかし、そんなときにこそ、親としての、大人としての精神的成熟度が試されているのです。もし子供の一言一言に反応し感情を表に出しているとしたら、その精神年齢は子供と同じです。皆さんはどうでしょうか?
④ 心を上手にコントロールする方法
心は育ってきた環境の中で作られていきます。そして、この心は大きなエネルギーを持っています。あなたと心はどのような関係ですか?
思春期はホルモンが正常に働かないこともあって心がコントロールできず、逆に感情に支配されてしまいます。その時は感情というエネルギーが、まるで自分より大きな存在に思えてきます。
「あの子のせいで私はとても腹が立った。」「彼女の一言で僕はこんなに傷ついた。」「殺人事件のニュースを聞いて、とても悲しくなった。」このように、自分がまったくコントロールできない形で感情はやってきます。
しかし、よく考えてください。自分が好きなチームが優勝したときと、そうでない場合とでは感情の動きが違いますね。また悲しい事故のニュースを聞いても、自分の知っている人の場合とそうでない人の場合では心の痛みは全く違います。
つまり、人は自分が経験した状況に対して、どのような感情をもって対応するかということを自分で選択しているのです。無意識のうちに。
自分自身の感情は、すべて自分が作り出したものです。
「誰かがこうしたから、そのせいでこう感じた」と原因を外に求めず、「それをきっかけに私の内側から感情がわきあがってくる、心が変化する」と自覚するのです。このように、自分の心は自分のものであるという気持ちを忘れなければ、嵐に吹き飛ばされる紙切れのように自分の感情に振り回されることもなくなります。
私たちは小さい頃から、感情を「良い、悪い」で分類し評価することを教えられてきました。そして「良い」と判断される感情は十分味わい表現しますが、「悪い」感情は箱に入れて、人に見せたり口に出すことを憚ってきました。この箱に閉じ込められた感情はどうなってしまうのでしょう。自分で「悪い感情だ」「悪いエネルギーだ」と分類し、表現をしてこなかった結果、負のエネルギーが増幅し、逆に自分の人生を破壊されてしまいます。
心、感情に良い悪いはありません。すべてが対等で、すべての感情に価値があります。
憎しみの裏側に愛があり、苦しみの後に楽しさが待ち受け、嫌いがあるから好きという気持ちが味わえるように。
あなたは今、何を感じていますか。気分がいいですか。幸せですか。ワクワクしていますか。退屈ですか。怒りを感じていますか。自分が感情とどのように関わりたいのか、そこからどのような価値を得ようとするのか。自分の中で意識してください。感じてください。
今あなたは、どんな感情を感じることも自由です。
- by 学志舎
- at 2007年06月13日
